しんぶじょうみゃくけっせんしょう

深部静脈血栓症

最終更新日:
2021年12月10日
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2021/12/10
更新しました
2017/04/25
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概要

深部静脈血栓症とは、脚や下腹部にある深部静脈と呼ばれる血管に血栓(血の塊)ができる病気のことです。主な症状は下肢の腫れ、痛み、皮膚の色の変化などで、さらに血栓が足の静脈から剥がれて心臓や肺に到達すると、肺塞栓症(はいそくせんしょう)を発症し、呼吸困難やショック状態を引き起こすことがあります。しかし、多くの場合は肺塞栓症を発症するまでは症状がみられず、発見が難しいことがほとんどです。

深部静脈血栓症は、入院中の患者や航空機などで長距離移動をする場合によくみられ、旅行者に発症するものはエコノミークラス症候群と呼ばれることもあります。

原因

深部静脈血栓は、血液が固まりやすい、静脈内血液の流れが悪い、静脈が傷ついているという3つの状態が満たされる場合に起こりやすくなります。これらの状態は、入院で寝たきりの状態が長く続いた患者や長時間航空機で移動した旅行者などに起こりやすく、長時間体を動かさないことでできた深部静脈血栓が、安静期間の終了や旅行地への到着で突然歩き始めたことをきっかけに肺塞栓症を引き起こすことが多いといわれています。

これらの人以外にも、手術により安静を強いられる人、妊娠中の人、大きな子宮筋腫がある人、ギプス固定をしている人、がん治療を受けている人、血液凝固異常がある人、高齢者などで深部静脈血栓症や肺塞栓症のリスクが高まるといわれています。

症状

深部静脈血栓症の主な症状は下肢の腫れ、痛み、皮膚の色の変化などです。皮膚の色は赤黒く腫れあがったり、腫れが続いて茶色く変色したりすることがあります。これらの症状が片方の足に現れた場合は、この病気の疑いが強くなります。急激に発症する場合には上記の症状がでますが、慢性的にゆっくりと発症する場合は、むくみや下肢のだるさなどの弱い症状しかでません。

深部静脈血栓症が肺塞栓症に発展した場合は、息切れ、呼吸困難、胸の痛み、冷や汗、失神、動悸、咳、血痰(けったん)などがみられ、最悪の場合は突然死に至ることもあります。

検査・診断

深部静脈血栓症は、第一の検査は、超音波検査による血栓の有無の確認です。CT検査などで診断することもできます。血液検査では線溶凝固系と呼ばれる血液の凝固や溶解の機能を示す検査値から推定することも可能です。

これらの検査は、下肢に腫れがみられ深部静脈血栓症が疑われる場合や、呼吸困難がみられ肺塞栓症が疑われる場合などに行われます。ときに、上肢などにできる人もいます。

治療

深部静脈血栓症の治療の基本は薬物療法です。薬物療法では、血液をさらさらにする薬を用いた抗凝固療法が行われます。まずは入院してヘパリンと呼ばれる薬を点滴し、経口薬のワルファリンを使用していましたが、最近はDOACといわれる新しい抗凝固療法が可能になってきています。

また肺塞栓症を発症しているときは、深部静脈血栓症と肺塞栓症の治療を同時に行います。肺塞栓症に対しても血液凝固薬による治療が第一選択となりますが、症状が重い場合には血栓溶解療法、下大静脈フィルター、カテーテル治療、外科治療などの方法が行われることもあります。深部静脈血栓症のみでは命に別状はありませんが、それが肺塞栓症になると命に関わる病気となっていきます。

予防

予防では、血流を滞らせないようにする取り組みが重要です。脚の血液の流れをよくするために、寝たきりの状態からなるべく早く起き上がってよく歩く、脚を動かす、マッサージを行う、小まめに水分を補給するなどが効果的です。また、脚を圧迫する弾性ストッキング、弾性包帯を装着する方法や、機械を用いて脚に周期的な圧力をかけて血流をよくする間欠的空気圧迫法、フット・ポンプ法などの方法もあります。ただし深部静脈血栓症では、足のマッサージは逆に血栓を飛ばす可能性があるので、マッサージの時期は医師と相談したほうがよいでしょう。

重要なことは、再発させないことです。そのためには、深部静脈血栓症になった原因を調べて対策することや、弾性ストッキングによる治療と抗凝固療法を継続することが重要となります。

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